Home 玲の水彩画 雅の水彩画 温泉の旅 雅と玲の紹介 リンク 陶房の部屋 禅士の部屋 禅士菜園


第7話

ジャズは今
(H23.01.20開設)

BY 又の名瞑想禅士


 禅士曰く、ジャズらしいジャズとは、半世紀前の1950年前後、偉大なジャズジャイアンツが続々と現れて、モダンジャズ~ハードバップ~クールジャズ~モードジャズとめまぐるしく進化していった時代のジャズのことをいう。
 特に、マイルス・デイビスは時代を先取りした演奏スタイルを追い求め、変化し続けていった偉大なミュージシャン、いわゆるジャイアンツである。

 ジャズは、19世紀末、アメリカ南部ニューオーリンズあたりで発生した。その頃は、ラグタイム、ディキシーランドと呼ばれ、スライド奏法という演奏スタイルであった。
 やがて、1920年頃、ダンス音楽として、踊りやすいリズムのジャズ、スイング・ジャズといわれるスイング・スタイルが、ラジオの普及と共に発展していった。
 スイング・スタイルの有名なバンドとしては、デューク・エリントン、カウント・ベイシー、グレン・ミラーが挙げられる。
PMC TB2 禅士所蔵 Tannoy SRM12 禅士所蔵 YAMAHA NS-100M 禅士所蔵 VICTOR SX-3Ⅲ 禅士所蔵 BOSE 301AVM 禅士所蔵

 1940年頃になると、ダンスのための音楽ではなく、芸術としての音楽のジャズ、ビバップ・スタイルのジャズ、いわゆるモダン・ジャズが花開いた。そして、チャーリー・パーカー、バド・パウエルの初期ジャイアンツ達が出現した。

 1950年頃、ジャズ史上最大のジャイアンツ、マイルス・デイビスらにより、複雑化されたコード進行とともに、より洗練され、クレバーな演奏のクール・ジャズが誕生した。そして、アート・ブレイキー、レイ・ブラウン、ジム・ホール、クリフォード・ブラウン、ソニー・ロリンズ、ミルト・ジャクソン等のジャイアンツが続出した。また、フォービートの全盛時代でもある。

 1960年頃、コード進行に頼らない、音階、つまり、モード奏法による自由度の高いモード・ジャズへと、変化していった。ジョン・コルトレーンは、コード進行ではパッとしなかったが、モード奏法で花開いたは有名である。ただ、コード進行に頼らないといっても、複雑なコードであることには変わりはない。

 変化は留まらず、自由を突きつめたフリー・ジャズへと進化していく。
 そして、その流れは、ジャズ・スタイルといった固定概念ではなく、ジャンルを超越した音楽そのもの、フュージョンへと流れていく。

 ボサノバ、アフロ、ロックがジャズと融合し、ファンクやラテン系のリズムを取り入れ始めた。そして、マイルス・デイビスは勿論、チック・コリア、ハービー・ハンコック等がエレクトリックを酷使し、ジャズがフュージョンへと融合された音楽へと進化していった。
 
SANSUI AU-α907XR 禅士所蔵
SANSUI AU-α907LEX 禅士所蔵

 フォービートからエイトビート、そしてシックスティーンビートとジャズのリズムは進化していった。
そして、今やジャズはコンテンポラリーと呼ばれる時代となった。
 コンテンポラリーとは、コンとテンポラリーであり、意味は、今、その場と共に、時の流れにそって、ということであり、「時の流れのなかでの今」ということ。
 全ての既成概念・既製の価値観から 脱却した視点から創造されるものである。
 具体的には、フュージョン系のインストゥルメンタルやクワイエット・ストーム系のブラック・ミュージック、及びジャズの影響を感じさせるロックまでの広範囲なサウンドを指すジャンルである。

 禅士曰く、ジャズとはブルースに始まり、ブルースに終わる。
 ブルースとは、ブルーノート・スケールを使った共通したコード進行により演奏される。
 コード進行とは、メロディーではなく、約束されたコード(和音)の中で、自由に、光り輝く音を展開させるのである。
 1つのテーマから始まり、続々と広がる音の世界を乱舞させるのである。

 ジャズは黒人の嘆きであり、嬉しさであり、叫びである。悲しいけれども、顔はピエロの面をかぶっている。笑いながら、心では泣いている。泣きながら笑っている。それを表現しているのがジャズである。その心境を歌っているのがジャズである。

 禅士曰く、ジャズとはアドリブである。
 心に流れる魂を吐き出す。
 心の呻きである。

 ジャズのスタイルがどうであれ、その精神は脈々とミュージシャンに受け継がれ、私たちは、その揺さぶれる魂に共振し、感動するのである。
 故に、ジャズの精神は永遠に生き続けるのである。

    次へ(第6話禅士ジャズに浸る)